データサイエンス企画 第一弾!〜データサイエンティストがマイホームを選ぶなら?〜

0.はじめに

本企画は「世の中の身近な事象をデータサイエンスによって解明する」をコンセプトに、弊社のデータサイエンティストが実際に分析を行い、得られた示唆をみなさまにお届けします!

今回のテーマは、「データサイエンティストがマイホームを選ぶなら?」です。

最近、チーム内でマイホームの購入を検討している社員が多く、「今、本当に買うべき?」「買うならどのエリア?」といった話題が絶えないことから、実際に弊社のデータサイエンティストがデータを使って分析し、示唆を出してみることにしました。

※本オウンドメディアでの記事はもっと身近に弊社を知っていただくことを目的としていることからライトな文体でお届けします。

それでは、はじめてみましょう!

 

1.分析観点と条件

はじめに、みなさんが家選びで重要な観点を挙げてみてください。

金額、立地、築年数、設備、アクセスなどなど様々な観点が浮かび上がったことでしょう。

まずは、自身にとって重要な観点を整理し、優先順位をつけることではありますが、今回、最も重要視した点は、「資産価値の変動リスク」です。

マイホーム購入は恐らく大半の人が人生で一番大きな買い物になるはずで、資産価値が下がることは誰しも避けたいはずです。

今回は以下の条件で分析を行います。

<分析の条件>

①物件購入金額は約6,000万円で設定

②エリアは東京23区内

③間取りは2LDK(約60平米)

④経済危機の際価格下落のリスクが少ない

⑤その物件のエリア内での価格の妥当性がある 

2.購入できそうなエリアはどこか?

まず東京23区の概況を大局的な視点でおさえてみましょう。

国土交通省が提供している地価のオープンデータを使い、地図上にマッピングすると・・・

 

図1:2023年時点の東京23区地価マップ(国土交通省データを基にPCJ加工)

 

予想通り、東京の中心といえるような千代田区、港区、中央区、品川区、渋谷区あたりは地価が高く、(円のサイズが大きくなるにつれ価格も高い)やはり都心部で物件を買うとなると相当ハードルが高いことがわかります。

 

図2:2023年時点の東京23区地価グラフ(国土交通省データを基にPCJ加工)

 

今回の予算は6,000万円、間取りは2LDKなので、この条件下で購入ができそうなエリアを特定していきます。

図2は1平米あたりの金額を区別にプロットしたものです。

条件に基づき絞り込みを行うと、以下が対象のエリアとなります。

板橋区、墨田区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区

 

上記の図はあくまでも平均値であり、もう少し選択肢を広げるため、1平米あたり70万円付近の江東区と北区も追加します。

  

3.価格変動リスクの少ないエリアはどこか?

上記のエリア(板橋区、墨田区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区)の中で、価格変動リスクの少ないエリアはどこなのでしょうか。

これまで日本は様々な経済危機や災害を経験してきましたが、最も地価の下落幅に影響を与えた事象としてバブル崩壊が挙げられます。その時の状況がどうだったか見ていきましょう。

 

図3:1991年〜1994年の東京23区における地価下落幅マップ(国土交通省データを基にPCJ加工)

 

図3はバブル崩壊時の下落値で、バブル崩壊が始まった1991年から1994年の間不動産下落比率を示しています。(大きく赤いほど地価の下落値が大きい)

このマップを見ると、都心部、特に港区、渋谷区は下落比率が70%程度になっています。それとは対称的に東、北西のエリア(江戸川区、足立区、板橋区 等)はそこまでダメージは大きくなさそうです

 

図4:1991年〜1994年の東京23区における地価下落幅グラフ(国土交通省データを基にPCJ加工)※荒川区、練馬区、目黒区はデータを取得できなかったため、記載無

図4のグラフで見ると、バブル崩壊時に下落幅が少なかったといえるエリアは以下となります。

江東区、板橋区、北区、葛飾区、江戸川区、足立区

しかし、上記はあくまでもバブル崩壊時のデータであり、当時と現在の都市開発等の状況が変わっています。よって、次の観点として近年の地価の上昇率を見ていきます。

 

図5:2012年以降の東京23区における地価上昇率グラフ(国土交通省データを基にPCJ加工)

 

金融政策によって、2012年以降は低金利政策、インバウンド需要、東京五輪等、複合的な要因で東京の地価が上昇しています。

ここで、持つべき視点は、価格幅が低く、上昇率が高くないエリアはどこであるか?ということです。

今後、地価に影響を及ぼす事象が起こったとしても、価格変動の幅が少なく、価格が安定したエリアを見つけます。

図5を見ると、下落幅の少ないエリア(江東区、板橋区、北区、葛飾区、江戸川区、足立区)の中で、上昇率も少ないエリアは、江戸川区、葛飾区であると分かります。

 

4.分析サマリー

今までの分析内容を振り返りながら、最適なエリアはどこであるか導き出していきましょう。

①購入できそうなエリアはどこか?

上記の分析により2LDK基準物件価格が6千万円以下になる可能性が高いエリアは以下となります。

板橋区、墨田区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区

 

②価格変動のリスクが少ないエリアはどこか?

上記のエリアの中で、バブル崩壊時平均的に被害が少なかったエリアは以下となります。

江東区、板橋区、葛飾区、江戸川区、足立区

さらに、被害が少なかったエリアの中でアベノミクス以降地価上昇率が低い(値段の下落リスクも低い)エリアは以下となります。

江戸川区、葛飾区

 

分析の結果、予算6000万円で2LDKの物件という条件で、価格変動リスクが少ないエリアは、江戸川区葛飾区であることが分かりました。

 

5.さいごに

以上が今回のレポートでした。いかがでしたか?

皆様が本レポートを通じて、データサイエンスを身近に感じていただけたら幸いです。

今回のレポートでは、現在収集可能なデータだけでも、最適なエリアを導き出せることが分かりました。

ここまでは、データ分析のファーストステップです。

次回は機械学習の要素を用いて、もう少し深堀した分析を行い、「物件価格の妥当性」を判断していきます。

最後にはなりますが、ご一読いただきありがとうございました。

今後とも、よろしくお願い申し上げます。

 

この記事についてのお問い合わせはこちら⇒問い合わせフォーム
※「お問い合わせ内容」の覧に、記事名もしくは記事URLをご記載ください

採用情報はこちら⇒Pactera Recruit
現場コンサルタントとの面談等も対応可能ですので是非お気軽にお問い合わせください!