※本記事は、パクテラ・コンサルティング・ジャパン株式会社が運営するWantedlyから加筆修正の上転載しています
はじめに
パクテラ・コンサルティング・ジャパン株式会社(以下、PCJ)は、自社が設定しているパーパス、コア・バリューを体現する企業として、自律型キャリア形成支援の行動変容メソッドで第一人者の法政大学キャリアデザイン学部 田中 研之輔 教授監修で、自律型キャリア形成と組織変革を繋ぐ「ティール型組織行動変容プログラム:(TX-P<Teal Transformation Program>)」を共同開発しました。
今回は、田中 研之輔教授と弊社 ビジネスデザイングループ マネージャーの鈴木にTX-Pの共同開発に至った経緯や共に目指す未来についてお聞きしました。
PCJのパーパスとコア・バリュー
パーパス 「に感謝され、笑顔を創り出すために、知恵と創造で変革を起こす」
コア・バリュー「変化を恐れず、変革を起こし、変人であれ」
Q&A Session
1. 共同開発に至った経緯
ーーまずはじめに、田中教授が自律型人材の打ち手として掲げているプロティアンキャリアと出会ったきっかけをお聞かせください。
田中教授: まず、プロティアンキャリアというのは、1976年の時にボストン大学経営大学院のダグラス・ホール教授が提唱した「一人一人が主体的にキャリア形成し、人的ポテンシャリティを最大化する」という最先端のキャリア理論です。プロティアンというのは、もともとギリシャ神話の予言の力と自由に姿を変える力とを備えているプロテウスの神から来ていて、私が出会った2008年当時、日本ではほとんど知られていませんでした。しかし、キャリア開発を専門に扱う中で、プロティアン理論が絶対日本に必要だと気づきました。
ーーなぜ日本に必要だとお考えになり、プロティアンキャリア研究をされたのかお聞かせください。
田中教授: その理由は三つあります。一つ目は日本人の働き方に対する意識の変化。二つ目は政府による働き方改革に向けた動き。三つ目はコロナウィルスによる行動の変化です。これらの三つにより、日本の働き方が「組織内キャリアから自律型キャリアへ」変わると確信しました。自律型組織と自律型人材はすでに完全に同じ方向を向いていたので、主体的に能力を高めながらできることを実現したいと思い、プロティアンキャリア研究に取り組み始めました。
(写真:田中教授)
ーーPCJが田中教授と出会ったきっかけはどのような経緯だったのでしょうか?
鈴木: 提供している Teal Journey Service という組織変革サービスの足りないピースを埋めるためにリサーチして田中教授に辿り着いたのがきっかけです。生産性向上のためには、DX、新規事業開発の成功確度を高める組織変革サービスが必要だと考え「Teal Journey Service」を開発しました。日本流ティール組織として再定義し、自律型人材、自律型組織へ進化するためのDXを実現する日本初のサービスです。社員各自が自律的に意思決定をし、互いを尊重し合い、存在目的に合わせて進化を続けるティール組織メソッドを活用(3STEP「STEP1(課題認識)・STEP2(解決策探索)・STEP3(解決策実行)」)することで組織・人のポテンシャルを最大限に引き出しますが、STEP3で組織だけでなく個人をどのように行動変容させていくべきか苦慮していました。
加えて、もともと、人事関係のプラットフォームで田中先生のプロティアン研究ゼミの連載を拝見している中で、自律的なキャリア形成のためには個人のパーパスを作り、アップデートしていかなければいけないという記事を拝見した時に、我々が Teal Journey Service で取り組んでいる進化するパーパス(Evolutionary Purpose)という考え方とすごくマッチしていると感じました。
また、リクナビネクストジャーナルの記事で「人と違うことをやらないと市場価値はつかめない」を拝見した時に、田中教授は行動力と先見の明をお持ちの方だなと思いました。理論だけでなく、自ら実践者として活動していることで一緒にやったら面白そう!と思い、どのようにアプローチすべきか熟考しましたが、上述の記事でも田中教授は(ダメ元でやってみた)とインタビューに答えていたので、私も見習い、ダメ元で問い合わせフォームからお声がけしました(笑) ただ、共通の価値観や目指すべき未来のベクトルが合わないと良いものが作れないと思いましたので、自分が何者で自分の想いや目指しているものなど考えを伝えたオフィシャルなもの「プレスリリース、インタビュー記事」のURLを田中教授への問い合わせフォームで展開したうえで依頼させていただき、複数回の協議を経て共同開発にこぎつけることができました。
ーーそういったお二方のこれまでの行動や想いがあって、二人が出会ったということなんですね。
田中教授: そうですね、同じ課題を解決しようと思っていたということだと思います。元々、組織という現場にそれぞれのアプローチで入っていたのですが、結果的に同じ問題に直面するわけです。例えば、組織が停滞しているであったり、人がうまくコーディネーション出来ていないであったり、本当に日本企業に多い問題で、特に大企業がこの問題を抱えています。目の前に問題があるのにそのまま見過ごすというのは嫌で、解決したいと思いました。だからその解決策を考えて、その一つにプロティアンキャリアがあり、そして今回共同開発したTX-Pになったということです。
ーー具体的にTX-Pの共同開発はどのように着手されたんですか?
鈴木: TEALにはインテグラル理論という、組織を集団と個人、内部と外部の四象限で考えるというのがあります。この中で、組織全体の構造から働き方を変えるということを始めに考えていました。しかし、それは結局トップダウンなアプローチだから、個人が共感し自分事化できるまでの意識と行動を生み出すことは難しい。こういうことは日本の企業に多いと思います。 そこで、まず個人の内部にフォーカスして気づきを与え内省させて、そこから変えていくというところに自律型キャリアみたいな視点がすごく重要だと考えました。それをプロティアンキャリアの第一人者である田中教授と一緒にやることによって、我々が難しいと感じる「個人」の部分が一緒に解決できるんじゃないかというのが共同開発に至った経緯と起点になります。
2. 日本企業の現状と課題
ーー田中教授は、これまでご支援をする中で、日本企業の最大の課題はどこにあるとお考えかお聞かせください。
田中教授: キャリアレベルによって三つの課題があると考えています。まず一つ目は、ファーストキャリア形成期間である、働き始めから最初の10年です。ここで若手は、その会社でどのように働いて行ったらいいのかがわからなくなる、「キャリアの不透明」という壁にぶつかります。次に、40代、50代のミドルシニア層になると、今度は組織にしがみつきます。自分のキャリアのことはあまり重要視しなくなりとにかく組織のなかで仕事をこなしていくことにこだわります。「組織へのキャリア依存」ですね。最後に、さらに上の世代で役職をもらって定年間近になってくると、完全に仕事に対するモチベーションが落ちてしまいます。「ベテラン社員のモチベーションの低下」です。キャリアが見えない若手・依存する中堅・モチベーションが低下するシニア層、この三つの問題がどこの企業にもあるのです。
ーー鈴木さんはいかがですか?
鈴木: やはり欧米と比べて、日本は教育や人に対して投資をしてこなかったという点に問題があると考えています。「人は財産だ」という意識は持っていて、中期経営計画や有価証券報告書に耳障りの良い言葉を並べているのにも関わらず、具体的なKPIを定めないで、実際の投資は後回しにされてきました。そういう言動と行動が一致してないところがまだまだ日本の企業に多いことが課題です。田中教授がおっしゃるように、人を中心とした人的資本経営体制ができると、生産性を上げることができると思います。
(写真:鈴木)
ーーこのような課題を解決するにはどうすれば良いのでしょうか?
田中教授: これを解決するためのアプローチは二つしかありません。一つは個人が変わるということ、もう一つは、組織を変えるということです。
大学のサークルでも企業でも、どんな組織にも共通して言えることですが、組織は「生き物」なのである程度の仕組みづくりをしないと成り立ちません。市場や外部環境は刻一刻と変化し続けているのにも関わらず、個人や組織はその決まりや既存の習慣に対して、「本当にそれでいいのか」という問いかけをしません。今は世の中の変化に伴い、DXによるハイブリッドワークなど働き方も変わってきています。ですので、解決するためには個人が変わるということが重要ですし、プロティアンで言うならば、「しなやかに自分の働き方を変えていく、適合させていく」ということがすごく大切になってきます。
組織側からアプローチするなら、TEAL型の自律型組織を作ろうということ、個人型のアプローチになれば、キャリア自律型人材を増やそう、つまりプロティアン型でやるということになります。これを両方やることが当然になってきていて、まさにTX-Pが取り組んでいることです。
ーーでは具体的にどうやってTX-Pを活用すればいいのでしょうか?
鈴木: まずは組織診断でAs-Is、To-Beのギャップ分析をします。自社でフレームワークを作って組織診断をするということは、今までの日本の企業では難しいことでした。しかし、今回開発した組織診断サービスを活用していただければ、その企業が目指すところをきちんと定量化しながら組織の健康診断をすることができます。そして、TX-Pでは、その後の個人の行動変容まで繋げることができます。個人から自律していけば、それが組織内で共感や共鳴につながり、組織全体に伝播していき組織が自律化していきます。
田中教授: 今まで、組織の何が課題で、どうやって組織を活性化していけばいいのかということがわからないということが問題でした。TX-Pで診断をすれば、そのアプローチが見えてきます。さらに、人的資本経営で重要なのは、人がどう変わったのかということです。TX-Pは、人の行動変容のデータが蓄積されていくことで、データドリブンで組織やキャリアという個別具体的なものに対応できるようにシステムが成長していきます。行動変容のプロセスを可視化できるのです。
個人のキャリア自律型の伴走型プログラムだけなら、他でもあるかもしれません。しかし、診断ツールとキャリア開発行動が両方できるツールは他にないものだと思います。
3.コラボレーションを通じて目指す未来
ーー最後にまとめとして、共同開発を通じて共に目指す未来はどのようなものか、お聞かせください。
田中教授: 社員一人一人のポテンシャルを活かす自律型組織を作り、日本の人的資本を最大化することが目標です。そうするとそれがより良い日本になります。もうやるべき事は明確に見えていて、やり抜くだけだと思っています。
おわりに
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
共通の問題意識を持った二者が、互いの強みを活かして一緒に取り組む新しい事業。日本企業の生産力向上に向けた、更なる事業の発展に乞うご期待です。
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