”あの”ボードゲームを遊んでみた!セキュリティ教育の効果はあるか?-話題の「Cyber Attacker Placement」

こんにちは、パクテラ・コンサルティング・ジャパン株式会社(以下、PCJ)のセキュリティコンサルティング事業部(以下、SCG)、の李順です。今回はサイバーセキュリティを題材にしたボードゲーム「Cyber Attacker Placement」を紹介します。公開して間もないゲームですが、SCGの関西メンバーも早速ゲームで遊んでみました。このゲームは駒やカードなどを自作してプレイするため、本記事ではプレイの経験、感想などに加えて、準備や用意する道具の工夫なども紹介していきます。皆さんのご参考になれば幸いです。

 

Cyber Attacker Placement の正体とは

「Cyber Attacker Placement」は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に2017年4月に設立された産業サイバーセキュリティセンター(ICSCoE)が実施する「中核人材育成プログラム」のうち、2023年度第6期の卒業プロジェクトの一つとして、今年9月19日に公開されたボードゲームです。

攻撃者の視点から、防御側が見落とす可能性のある脆弱な点に気づき、セキュリティ意識の向上」を促すことが狙いです。

ゲームでは、プレイヤーはハッカーグループの凄腕ハッカーとして、3人の部下を動かしながら4拠点を攻撃し、ポイントを獲得していきます。一番早く目標点数を集め、ハッカーグループの幹部に昇格することを目指していきます。

無料公開のゲームで、「個⼈、法⼈組織における⾮営利、⾮商業的態様でのシステムセキュリティ教育・啓発 ⽬的でのみ」プレイできます1。SCGでは、チーム内の研修としてプレイしてみました。ルール説明、必要なパーツはプロジェクトのページに公開されています。

 

Cyber Attacker Placement

プレイ人数:3人~4人

プレイ時間:45分~1時間

学習効果:攻撃者を疑似体験することでセキュリティ対策の重要性を学ぶ。

また、初学者に対してセキュリティへの興味を持ってもらう。

ゲームの目的

  • サイバー攻撃は対岸の火事ではないという事を学ぶ
  • サイバー攻撃の種類、多様性について学ぶ
  • セキュリティの重要性を学ぶ
  • 脆弱性の放置の危険性を学ぶ

攻撃者視点の獲得を目的としたボードゲーム:Cyber Attacker Placement | デジタル人材の育成 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
  

準備編

ゲームを実施するために、道具の準備から開始しました。攻撃者視点の獲得を目的としたボードゲーム:Cyber Attacker Placementに必要な道具のダウンロードリンクも掲載されています。内容物やそれぞれの説明は以下の通りです。

 

 

全部印刷すると枚数が多いのですが、最低限必要なファイルは「Cyber Attacker Placement遊び方マニュアル.pdf」「カード.pdf」「サイコロ、攻撃者、情報キューブ、得点チップ.pdf」「メインボード.pdf」でこれらを印刷すれば大丈夫です。

※手番リストは「Cyber Attacker Placement遊び方マニュアル.pdf」に同じページが含まれています。手番リストの部分だけ人数分あると便利です

印刷後、利用方法に沿ってパーツを作成します。普通のA4のコピー用紙に印刷したものをハサミでカットしましたが、そこで問題が発生しました。「カード」を作成する際、普通のコピー用紙だと、流石にペラペラし過ぎでプレイしづらかったのです。悩んでいるところ、先輩Tabさんの協力(実際にはTabさんの奥さんの協力)を頂き、ラミネート加工することで、「カード」の感じができました。「メインボード」もラミネーターで加工し、プレイしやすくなりました。

 

 

他にも、「サイコロ」(6面体1つ、4面体2つ)、「得点チップ」(1点と3点の2種)をA4紙で作りました。「情報キューブ」は4色各30個、「攻撃者」も各3個が必要でした。また先輩Tabさんの発案で、100円ショップで購入できる“おはじき”を活用することにしました。6袋のおはじきを購入したところ、青35個、黄54個、緑36個、赤55個と必要な数を準備できました。

上記のように広い机に四つメインボードを展開し、それぞれの道具を配置して準備は完了です。

 

プレイ編

いよいよ本番スタートです!

ルールはなかなか複雑で、読むだけではわからないことが多いので、一回トライするのがおすすめです。人数分印刷した手番リストは各プレイヤーの手元に置いて、わからない際に参照しながらゲームを進めました。説明書読みながら1回プレイすると大体わかります!

また、マニュアルのルールの中に「交渉」という要素がありますが、この要素は省略することができます。初心者の私たちにとってもルールが複雑になりすぎるため、今回は省略しました。

基本的には、手番での「攻撃カード」の使用または「拠点への侵入・展開」で得点を稼ぎ、先に15点を集めると勝ちとなります。「攻撃カード」と「拠点への侵入・展開」には「情報」が必要になり、毎手番で3つのサイコロを振った出目によって獲得できます。「攻撃カード」や「拠点への侵入・展開」の種類に応じて、必要な「情報」の数や色の組み合わせが異なります。その他、「拠点へ侵入・展開」すると強力な攻撃カードが使用できたり、次ターン以降「情報」がより多く獲得できたりするメリットがあります。

また特殊な効果を発動できる「イベントカード」もあります。他にも全体に影響を与える「脆弱性カード」や「セキュリティカード」があり、攻撃カードの弱体化や強化を行います。

 

結果発表&感想

複雑なルールに苦闘しながらも1時間ほどプレイし、最後自分が勝ちました!参加者の得点順は自分15点、Tanさん12点、Hさん8点、Tabさん6点でした。

 

後輩に負けてうなだれる先輩二人

 

前述のとおり、基本は「攻撃カード」の使用と「拠点への侵入・撤退」により点数を集めます。効率よく点数を集めるために、自分の場合、「ARPスプーフィング」というカードを多用し、効率よく2点を獲得しました。クイズのように知識を競うものであれば、先輩方に勝てなかったかもしれませんが、ゲーム要素もあることで、知識の差があっても勝てる可能性があります!

 

 

また、カード間の「相殺効果」は面白かったです。例えば、「二段階認証」のセキュリティカードと「VPN脆弱性放置」の脆弱性カードが同時に発動した場合、効果が相殺されます。現実的にも、「VPN脆弱性放置」のままでは、「二段階認証」を導入しても効果はありません。それぞれのカードの名前と説明文を通してサイバーセキュリティの知識を得られただけでなく、こういうゲーム通じて実感が伴い、理解を促進させることができました。

当初、ルールが複雑なこともあってゲームをやりづらいという抵抗感がありましたが、1回プレイするとゲームに慣れてきました。更に、ゲーム性と教育性も両方を体験できます。皆さんの職場でもオフィスにチームメンバーで集まって、プレイしていかがでしょうか。

 

終わりに

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<執筆:李 順 セキュリティコンサルティング事業部 パクテラ・コンサルティング・ジャパン株式会社>

  1. 産業サイバーセキュリティセンター 中核人材育成プログラムにおける各卒業プロジェクトチームの著作物になります ↩︎