外資系コンサルタントのキャリア戦略~繁忙期を克服し成長する方法~

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はじめに

皆様初めまして。パクテラ・コンサルティング・ジャパン株式会社(以下、PCJ)の山中康平と申します。たくさんの記事からこの記事を選んでいただきありがとうございます。メインテーマに入る前に、簡単に自己紹介をさせてください。

私は新卒で株式会社船井総合研究所に入社し、主にリフォーム会社向けに経営コンサルティングを実施してまいりました。その後、PCJに入社し、現在では主に大手通信会社向けに事業戦略策定~営業支援まで幅広くコンサルティングをしています。本稿ではコンサルタントとして様々なプロジェクトを経験してきた私から、コンサル業界の生の声をお届けしたく記事を執筆しております。

今後、コンサル業界でキャリアを磨きたいとご検討されている読者の皆様にとって、コンサルティングという仕事の理解の一助になれば幸いです。是非とも最後までお読みください。それでは、早速本題に入ります。

 

本当稿の趣旨

外資系コンサルティングファームに所属することは、高度な専門知識と広範なビジネススキルを養う絶好の機会を得られることから、近年他業界からの転職や新卒の志望先としても人気を集めております。また、高い給与水準も魅力の1つでしょう。一方で、激務であると認識されている方も多く、実際にコンサル業界でキャリアを築くその道のりは決して簡単ではありません。特に繁忙期には、過酷なスケジュールとプレッシャーに直面し、コンサルスキル以上に精神的な強さもしばしば求められます。このような情報はインターネット上にたくさん転がっており、業界に興味関心が無い方でも見聞きした経験があることでしょう。

読者の皆様が本当に知りたいことは「実際はどうなのか?」ではないでしょうか。「激務と言われているけど何が忙しいのか」「コンサルタントは1日どのように過ごしているのか」等と、不安や疑問に感じている方も多いかと思います。本稿では、コンサル業界に興味を持つ読者の皆様に向けて、外資系コンサルタントのキャリア戦略として、繁忙期を克服し、成長を遂げるための具体的な戦略を筆者の実体験に基づいて探求します。※あくまで個人的な見解です。

繫忙期の実態

なぜコンサルタントは忙しいのか

コンサルタントの仕事は、クライアント企業の“課題解決”と“価値創造”に貢献することです。プロジェクトテーマは多岐にわたり、高度な分析と戦略的な思考が常に求められます。クライアントはコンサルタントの思考力とそのアウトプット(資料品質)に価値を感じ、高額なフィーをお支払くださいます。

上記を前提とし、以下3点が忙しい理由であると考えます。

1.高いクライアントの期待

外資系コンサルティングファームは、その専門知識に加えてグローバルな視点からも、高いレベルのサービスを提供することが期待されています。繰り返しになりますが、我々が提供するサービスとは、クライアントが考え付かないような示唆や見解を十分な根拠を持ち、なおかつ高い資料品質で提示することです。クライアントの要望を満たす解を導くために、綿密な調査、分析、そして戦略立案が求められ、「思考」と「作業」の繰り返しを短い時間の中で何度も行う必要があります。また、クライアントはその業界のプロであり、我々が専門知識を有する前提でプロジェクトは進行するため、十分なキャッチアップが必要なことも1つの要素です。

2.作業時間の確保の難しさ

コンサルティングの仕事はクライアントとの打ち合わせ、社内会議、プロジェクトチームとの調整会議など、会議が非常に多いことが特徴です。これらの会議はプロジェクト進行に不可欠ですが、一方で連続する会議は作業時間を圧迫し、分析や資料作成に割ける時間が限られることになります。その結果、効率的な時間管理が難しくなり、業務時間外に作業を行う必要性が高まります。

3.プロジェクトの多様性と複雑性

コンサルタントは一度に複数のプロジェクトを手がけることもしばしばあります。それぞれのプロジェクトで異なる業界や課題に対応する場合もあり、ます。同時に多種のテーマを扱うことで、仕事のコントロールの複雑さが増し、常に高いレベルの集中力と労力を必要とします。

繫忙期の業務内容

忙しさはプロジェクトによると言われていますが、実際に私が経験した繁忙期を例に挙げ、実態を解説していきます。

2023年6月~8月の約3か月間、私は3つのプロジェクトを掛け持ちしておりました。

一般的な稼働率の考え方ですが、一日の業務時間のうち●%をその業務に充てるというものです。一日の業務時間を9:30~18:00(休憩1時間)の計7.5時間とすると想定稼働時間は以下の通りとなります。

あくまで一例ですが、午前中3時間でPMとして2つのプロジェクトを監督し、午後4.5時間で営業支援を実施するという1日の時間配分になります。

時間内容
6:00起床、朝食、身支度
7:00移動・出社
7:30タスク・メール確認
8:00作業
8:45MTG準備
9:00MTG・A社事業戦略策定支援
10:00MTG・A社営業ツール導入支援
11:00MTG内容・今後のタスク整理
11:30移動・お客様のオフィスへ
12:00昼食をとりつつMTG準備
13:00MTG・B社営業サポート業務支援(クライアントMTG前の確認/チーム内レビュー)
14:00個人作業・MTGに向けて資料の最終確認
15:00MTG・B社営業推進支援(クライアント)
16:00個人作業
17:00MTG・B社営業推進支援(プロジェクトメンバー)
18:00個人作業・情報収集、分析、資料作成
21:00移動・帰宅
21:30夕食
22:00ジム
23:00帰宅後入浴・身支度・翌日のスケジュール確認
0:00就寝

その中で会議や資料作成をする訳ですので、お気づきの通りタスク量を鑑みてもかなり逼迫したスケジュールになっていました。特に事業戦略策定やツール導入支援等はクライアントとの認識齟齬が無いように、実施する会議と頻度が多いこと、作成する資料が多いことからかなり多忙な毎日を過ごしていました。

繁忙期と閑散期の変化(生活スケジュールや精神的な変化)

コンサルタントも常に忙しいわけではなく、閑散期があります。閑散期は自己啓発や趣味の時間を持つことができ、仕事以外の活動にも注力できるようになります。
一方で、繁忙期は、生活スケジュールが大きく変わり、プライベートの時間が極端に少なくなります。また、長時間労働が続くことで、精神的なプレッシャーも増大します。私自身、(2)の3か月間のように3つのプロジェクトを掛け持ちすることは初めての経験でしたので、この3か月はかなり大変な期間でした。当時の私に十分なプロジェクト遂行スキルが無かったことも忙しく感じた要因であると思いますが、コンサルタントは体力・精神面ともに十分な自己管理が必要であると感じます。

繁忙期の乗り越え方

(1) 優先順位の明確化

複数のタスクやプロジェクトに取り組む際は、優先順位を明確に設定することが重要です。緊急性と重要性を基準にタスクを分類し、限られた時間の中で最も影響度の高い作業に集中するようにしましょう。

(2) 効率的な時間管理

一日のスケジュールを事前に計画し、作業時間を明確に区切ることで、効率的に時間を管理します。また、タイムブロッキング(特定の時間帯を特定のタスクに割り当てる方法)を用いることで、集中力を高め、作業効率を上げることができます。マルチタスクは可能な限り避けることをお勧めします。

(3) チームワークの最大化

チームメンバーとの協力は、繁忙期を乗り越える上で非常に重要です。チームワークの最大化は(2)の効率的な時間管理にもつながります。タスクの分担、情報共有、サポートの体制を整えることで、個々の負担を軽減し、チーム全体の成果を最大化させましょう。

(4) コミュニケーションの強化

クライアントやチームメンバーとのコミュニケーションを密にすることで、誤解やミスを防ぎ、スムーズなプロジェクト進行を実現します。期待管理を適切に行い、進捗状況や問題点を適宜共有することが重要です。

(5) セルフケアの実践

長時間労働が続くと、身体的・精神的なストレスが蓄積されやすくなります。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけることで、体調を整え、パフォーマンスを維持しましょう。

(6) リラクゼーションの時間を設ける

短時間でも良いので、趣味の時間やリラクゼーションのための時間を設けることが大切です。短い休息や軽い運動、瞑想などを取り入れることで、ストレスを軽減し、集中力を再び高めることができます。

(7) 代替案の検討

時には、期限の延長やタスクの再分配が必要な場合もあります。現実的な目標設定と、状況に応じた柔軟な対応が求められます。

当たり前のことかもしれませんが、身体的・精神的なプレッシャーを強く感じると冷静な判断ができなくなるケースもあります。これらの戦略を駆使することで、外資系コンサルタントとしての繁忙期を有効に乗り越え、プロフェッショナルとしての成長を遂げることができます。

繁忙期を通して得られた教訓・学び

繁忙期を乗り越える過程で、時間管理の重要性、チームワークの力、ストレスマネジメントの技術など、多くの教訓と学びがあります。また、過酷な状況下での問題解決能力や、クライアントとのコミュニケーション能力も大きく向上します。これらのスキルは、コンサルタントとしてだけでなく、あらゆるビジネスシーンで非常に価値のあるものとなります。具体的には、限られた情報から迅速に意思決定を下す能力や、困難な状況下でも冷静さを保ち、チームをリードする力が養われます。さらに、繁忙期を経験することで、自己の限界を知り、それを超えるための方法を学ぶことができるのです。

最後に

外資系コンサルティングファームでのキャリアは、多くの挑戦と成長の機会を提供します。特に繁忙期は、自己の能力を試し、拡張する絶好のチャンスです。繁忙期を生き抜くためには、効率的な時間管理、強固なチームワーク、そして自己ケアの重要性を常に意識することが不可欠です。また、チャレンジを通じて得た学びを次に活かし、継続的な成長を遂げることが大切です。外資系コンサルタントとして成功するためには、これらの教訓を胸に、常に前向きな姿勢で挑戦し続けることが求められます。

本稿が提供した戦略を活用することで、読者の皆様が繁忙期の難関を乗り越え、キャリアの次のステージへと進むための一助となれば幸いです。また、外資系コンサルティングファームへの転職希望者や新卒の方々が、この記事を通じて、繁忙期の挑戦を乗り越え、自己成長の道を見出すことを心から願っています。

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執筆:パクテラ・コンサルティング・ジャパン株式会社 山中 康平